抜け殻。
こうも時間が有り余ると、普段は考えもしないようなことがふと頭をよぎる。世界が滅亡したらどうするか、とか、タイムスリップできるなら過去か未来か、とか。今の技術では未来にしか行けないらしいけどね。あとは、死んだらどうなるのか、とか。
特定の宗教を信じているわけではありません。神様はおみくじといざという時の神頼みの存在。困ったときには「神様、仏様!」って言ってしまうくらいに希薄な宗教観しか持っていません。だけど、死ぬっていう物理的な現象は絶対にいつか起きる。だからその時を想像して、その先を空想しながらコーヒーを煽る。
死んだことはないけれど、先に逝ってしまったひとを見送ったことはある。そんな時いつも思う。ここにあるのは抜け殻なのだろうか、って。
今からとても不謹慎なことを言う。死んでしまったものが、それが虫であろうとも動物であろうとも、とても気持ち悪い。さっきまで動いていたものが動かなくなる瞬間、それは何か断絶されたもののようで、その線引きを超えてしまったら生き物がただの物になる。それがとても気持ち悪く感じてしまう。まるで、蝉の抜け殻のよう。確かに生きていたのだけれど、今はどうなっているのかわからない。
僕が死んだらどうなるのだろうか。誰かが偲んでくれるのだろうか。葬式はそれほど集まらないだろう。こじんまりとしてくれればいい。そこにいる人は泣くのだろうか。何を思って?
僕は葬式に行くと空気に泣いてしまう。あの独特な、荘厳な、でも悲しい雰囲気に泣かされている。他にもそんな人いますかって聞いてみたいけれど、不謹慎の重ね塗りになるからやめておく。