Wochenende Café

好きなことだけして生きていたらいつか好きな人に会えるミラクルが起きてほしい。

グラス一杯。

 前回からひと月あまり。まさか、SnowManのCDを全て買い揃え、ライブDVDまで予約するほどにドはまりするとは。自分で自分にびっくりです。

 

 この間書いた通り、佐久間さんが入り口になってSnowManという素敵なアイドルにたどり着いた。歌とか、ダンスとか、アクロバットとか、バラエティーとか、いろんな側面がきらきらと瞬いて星のような彼らから目が離せなくなった。それから僕は順調に、一人ずつ順番に知って、好きになっている。

 

 今はふっかさんこと、深澤辰哉さんのターン。何を隠そう、SnowManを好きになったことを友人に報告したら、「私の推しは深澤さんだから!」と布教されたのが始まりであり終わり。もうこの沼からは抜け出せないのだろうな、なんて、今では人ごとのように思っています。沼が深かった。

 

 深澤さんはもともと整った涼やかなお顔立ちをしているので、とっかかりは「ジャニーズだ…」という何とも軽薄な感想からでした。個人的な好みだけれど、深澤さんのすっとした目がなんとなく冷たい感じがして、僕としてはかわいいアイドルというよりもかっこいい、美しいイメージが強い、そんな方。

 

 けれど転機が訪れる。そう、すのちゅーぶ。

 

後輩から『君の彼氏になりたい。』という曲のDance Practiceを、半ば強制的に見せられた。勧められなかったら、たぶんSnowManに堕ちることはなかっただろうなあ。そう思うくらい僕の趣味に合っていたので後悔こそしていないけれど。曲調もおしゃれ、振りも手話っぽくて独特で、歌詞もユーモアに富んでいて一人一人の声が映える。最高ですね。あまりに観すぎて、今となっては大体踊れます。

 

話が逸れました。

 

そんなふうに曲にハマって、何度も観て。ほかの曲も聞こうかな、なんて視線を下げたら、おすすめ欄に、もうひとつ同じ曲の動画があるじゃないかと。Youtube側さんやるな、と。当然観ますよね。そしたらなんか頭にタオル巻いてるじゃないですか。めちゃめちゃ踊るじゃないですか。面白いじゃないですか。

 

 かくして、深澤さんの沼に足を取られました。友人は「リアコ」などと称していましたが、わかる気がする。大人っぽさと少年ぽさ、色気と幼気、冷たさと温かさ、強さとやさしさ。相反するものが矛盾せず、絶妙なバランスで混ざり合っている。罪な男。

 

 そんな深澤さんは、調和のひとだと思う。ふわりゆらり、はらり。羽の生えたような動きは、やわらかい曲の中では美しく映え、重厚で力強い曲の中では、他メンバーの強さが威圧に変わらないよう、彼らと僕らの間に調和をもたらしてくれる。甘い歌声も、その柔らかさと安定感から誰との組み合わせでもきれいなハーモニーを奏でる。MCでも、彼はそれぞれの話に耳を傾け、時には面白おかしく演じて楽しませてくれる。ともすれば個性がぶつかりそうなグループを、優しく包み込むようにまとめてくれる。中庸でも均衡でもない。シーソーを傾けるのではなく、風呂敷で包む。少なくとも僕にはそう見える。

 

 ここからは余計なお世話かもしれない。聞きたくない人は耳をふさいで、見たくない人は飛ばしてください。けれど、ときどき不安になる。そのやさしさが故に、彼はすべてを自分のものとするきらいがあるから。

 

SnowManというグループは、光を浴びるまでの準備期間が長かったのだと知った。この名を授かり、6人から9人へと姿かたちを変えながら、その中心でじっと耐えていた。そんなとき最年長という肩書は、ややもすれば重すぎるのかもしれない。彼はかつて、舞台上で涙したのだという。

 

今、すごく踏ん張りどきだと思うんです。だけど、僕だけでは守れないんです。

 

彼があのときあの場所で何を思っていたかなんて、きっと誰にも分からない。けれど、画面の向こうに彼を見た僕は、その言葉が助けてと泣いている子供のようで苦しくなった。人の前で弱い部分を見せるような人には思えなかったから。人の涙に感化されたのなんていつ以来だろう。あの頃の彼は今何を思うのか、ふと気になることがある。

 

 もうひとつ気がかりなことがあるとするなら。どうか、自愛を忘れないでほしいと強く願う。彼は優しくて、優しいから、きっとたいていのことは笑って受け流せてしまう。自分で自分のことを面白おかしく表現することもある。それはきっとエンターテイメントの世界では必要なことで、だけど、それは傷つかないことを必ずしも意味しない。

疲れたら休んでほしい。悲しい時には泣いてほしい。苦しいなら叫んでほしい。そしてそのときには、誰かの声が届いてほしい。あなたは美しいと。格好良くて、しなやかで、強かな、愛されるべき存在なのだと。たとえ誰もが、ひとりで泣く、その隣にいられないとしても。

僕らはもう、あなたがどれだけ気高く美しいか知っている。

 

 最後に、タイトルの話だけ忘れないように書いておきます。グラス一杯。これは僕が深澤さんに勝手に抱いた印象です。

どんな飲み物を注いでも美しく引き立たせられるようなグラス。かたちなきものに彼なりのかたちを与えて僕らに見せてくれる。それはときにメンバーだったり、タレントさんだったり、俳優さんだったり、芸人さんだったり。

1人の時ですらも中身はいつだって空虚ではない。誰かからもらったもの、誰かのいいところ、誰かからのやさしさ、そして周りのひとへの愛をいっぱいに注いで、ゆらゆらと揺れている。

 

もしかしたら僕は、その水面に映る影に恋をしているのかもしれない。

 

 

 

p.s. 深澤さん、30歳を迎えられたのですか。知らなんだ。おめでとうございます。

30歳の1年も、こころとからだが健康でありますように。深澤さんの好きなひとたちと一緒に居られますように。おいしいご飯食べて、あったかい布団で寝られますように。