Wochenende Café

好きなことだけして生きていたらいつか好きな人に会えるミラクルが起きてほしい。

干したての布団。

 何にもしたくない。バイトも学校も行きたくない。起きるのも嫌だしご飯はおいしくない。だけど生きていくにはどうしても必要なことばかり。生きていくって大変ですね。そんなぼくは「もみあげ手裏剣」を燃料にして毎日何とかやっています。

 

 もみあげ手裏剣。天才かと思いました。どういう経緯で誕生したものなのかとかどんな意味があるのかとか全然知らないけど、元気に「もみあげ手裏剣!」って唱えるとなんか元気になる気がする。魔法の言葉です。

 

 しかも、これってポーズまで秀逸なんですよ。耳元から指ハート、みたいな感じなんですけど。だから、何にも知らない人から見ると指ハートなんですよ。知ってる人にとってはもみしゅりだけど。この二面性が面白いし、どんな人にも刺さる素敵ポーズです。

 

 そんなもみあげ手裏剣、通称「もみしゅり」の生みの親は向井康二さん。やっぱりSnowManって個性豊かだなあと感心してしまう。彼がテレビとかで元気に「もみあげしゅりけん!」って言っているのを見るだけで、なぜか少し元気になれるのはなんででしょうか。

 

 そんな向井さんをちゃんと知ったのはたぶん、『冒険少年』だったと思います。目黒さんと二人で無人島に行っていた時かな、明るくて面白い人だなと思ったのがファーストインプレッション。少年ぽくて、遊び心を忘れない、常に全力投球の向井さんを見て、素晴らしいキャスティングと、それまで向井さんのことをあまり知らなかった自分にびっくりしました。こんなに輝いてるのに。

 

 これまであんまりアイドルに強い興味を持たなかった身としては、グループの中の立ち位置とか関係値って外からはわからないと感じる機会が多かった。友人に「この子推しなの、かわいい担当だよ」とか言われても、あんまりしっくりこない。だってその子のかわいいところを見たことがないんですもん。バラエティ担当とかもおんなじで、やっぱりグループ内部のノリとか、そこで発揮される良さってどうしても外からはわかりづらい。だから、「グループの子」みたいに思ってしまうこともしばしば。それって結構もったいないことなんですけどね。

 

 最初は向井さんのこともきっとそんな感じで認識していたのかなあ、とぼんやり思う。SnowManの人。関西弁の子。そんな感じ。それって何が悪いわけでも誰が間違っているわけでもないのに、なんか苦しい。

 

 いま、冒険少年だけじゃなくてドッキリGPとかでも爪痕を残して、番組を愛し番組に愛されているのはとっても嬉しいことだと思う。かつてのぼくみたいな人が知って、興味を持つ足掛かりになるから。いろんなところで向井さんのもみしゅり、もっと見れるようになったらもっと嬉しい。

 

 僕は、等身大な向井さんがとても好きだ。いや分からない、もしかしたら等身大じゃないかもしれない。だけど、少なくともぼくには一番近いアイドルとして印象づけられています。全部に一生懸命で、すがすがしいほど全力で、感情を波打たせながら挑んでいく。普通に見えるけど普通じゃない。全部にきめ細やかに丁寧に向き合う姿勢って、計り知れない努力の上に成り立っていることですよね。彼を見るたび元気をもらえるけれど、発破をかけられているようにも感じます。

 

 あと、言葉も好き。傷つかない言葉とか、温かい言葉を選んでいるんだと思う。もみしゅりとか動脈ピースとか、安心安全、口に入れても大丈夫な素材でできているし、それは人に向ける言葉もそう。場の流れで人を傷つけているのを見た覚えがない。ただでさえ言葉を伝えるのは難しいのに、その場の流れでぽんぽんと言葉を放たないといけないからきっともっと難しい。それでも人を嫌な思いにさせないように振舞える彼はものすごく頭の回転が速くて、何よりも優しいのだろうと思います。

 

 端々に滲む優しさがとってもぬくくて、ぼくはそれを見つけるたびにほっとします。最近見つけたのは、「輝け、おれ」ってやつ。向井さんが自分の映像を見ていて、そろそろ自分の見せ場がくるぞってときに祈るように口にするこの言葉が、お守りみたいですごく強いなと思いました。

これのミソはやっぱり「輝け」ってところ。頑張れ、じゃなくて輝け。頑張ったかどうかってやっぱりシビアな基準だ。自分で頑張っているつもりでも、周りからそう見えているか分からない。頑張るっていう言葉はとても観点的なのに、なぜかみんなが共通のものさしを持っているように感じてしまいます。だけど、向井さんはそこに新しい基準をもってきた。

 

 もちろん「輝く」って言ったって、ぼくらは蛍みたいに発光するわけじゃない。だからこそ、自分が好きに決めていいんじゃないかな、と思えたのがうれしかった。他人に知られない自分だけの基準。自分が自分を客観的に見た評価。自分の世界にはそれで充分なんじゃないかなって。

 

 向井さんは干したてのお布団みたいな人で、身近だからいないと困る。太陽のいい匂いがして、いつもより少しだけあったかめに包んでくれるようなかんじ。疲れたときはそのままダイブするように向井さんのいるすのちゅーぶとか観ています。嫌なこととかも全部忘れさせてくれる。

 

 そんなやさしさを持っているひとはきっと繊細だから、誰かと一緒にいてほしいなと思います。優しいひとは往々にして自分を後回しにする。それは美徳かもしれないけれど褒められたものではない。自分を大事にして、余力で人を幸せにできたらちょうどいいと思うけど、でも彼らのお仕事はそんなに単純ではなさそう。だから、SOSに気づいてくれる人が近くにいて、たまにたくさん甘やかしてみんなに配りすぎたやさしさの修復を手伝っていたらいいな。

 

 それで回復したら、またテレビとかで楽しそうにしていてほしい。にぎやかに笑っていてほしい。間違えても、失敗しても全然大丈夫。テレビの中から「あかんかった!」って明るく笑い飛ばしてくれるこーじくんがいれば、何とかやって行けそうです。