Wochenende Café

好きなことだけして生きていたらいつか好きな人に会えるミラクルが起きてほしい。

お客さんのこと。

 人前に立つ仕事を見るのが好きだ。アイドル、芸人、俳優。別に目指しているわけではないけれど。やっぱり世の中にはかわいい人なりかっこいい人なりが腐るほどいて、それを眺められるのはなかなか悪くないシステムだと思う。富の再分配というか、美の再分配というか。与えられなかった分の何かをまぶしく見られる、そんな関係は悪くない。

 

 逆に、人前に立たない仕事が嫌いかといえばそうではなく、カメラマンなんかにも興味を持ったりする。一時期はマネージャー業にまで興味を持ったもんです。アニメが好きだからというのもあるけど、声優だったり、作画だったり、私のできないことをしている人がとにかくうらやましく思う。

 

 ただ、客が悪い、と思う頻度が増えたから備忘録的に書き残して自分への戒めにしよう。それだけの記事です。

 

 なんというかなあ。客側が求めすぎなんだと思うの、昨今のエンタメ業界では。僕の持論としては、「表舞台に出てこない人を応援するのは自由、ただし引きずり出すな」だと思ってます。表舞台に出ない仕事は表舞台に出ないから需要がある側面もあると思うよ。例えば、漫画家。顔を出す、人々に認知される方法として否定はしないけれどもそこには必ず自分の意思がないとぶれると思う。ていうか本来漫画家としては自分というより自分の生み出した作品を認知してもらいたいのでは?しらんけど。けれどもやはり顔を出す以上、ある程度自分のイメージが作品に影響するかもしれないというリスクは常に負わなければならない。

 

 同じ事例としては声優。鬼を斬るアニメの声優さんたちはここのところテレビに雑誌に引っ張りだこだけれども、きっと努力は常に声の仕事に向けていると思う、し、やっぱりキャラクターに命を吹き込むわけだから極力イメージが固定化されていない、ミステリアスな人として存在する方が圧倒的にやりやすいと思う。勝手な想像だけどね。こっちも、自分のイメージが作品に与える影響はある。

 

 手のひらを返すようではあるけども、別に表舞台に出ることが悪いって言いたいんじゃない。それはその人次第だと思うし、自分の可能性として表舞台に出る選択をするならそれはファンとしては喜ばしい。芸人がドラマに出るように、声優がアーティスト活動するように、アイドルが舞台役者として演じるように、活躍のフィールドを広げてくださるのは拝見する機会が増えて僕もうれしい。

 

 だがしかし、それが客側からの期待であったり、もっと言えば要望であったりしてはいけないと思う。極端な話、顔を出したくないから自分自身が目立たない仕事を選ぶ人だっているでしょう。それを無理やり光の下に引きずり出すのはなんか、違うよなあ、と。

 

 客側のちいさな声がその人に届いてメディア露出のきっかけとなった。これはいい例。だけど、客の声って雪だるま式に大きくなるんだよな。ほら、アイドルのライブとか見ればわかるでしょう。誰かが「かわいいー」って叫んだら負けじと「かわいいー」って叫ぶあれ。僕苦手。だってそれがプレッシャーに感じるひともいるじゃない。僕のようなお豆腐メンタルが。だから、客側としてはある程度遠慮をおぼえないといけないよね。

 

 これはもうどの仕事に対しても思うんだけど、消費者は消費者なだけであって別に神様ではないの。いいんだよ、確かに要望は改善への一歩だからさ、伝えるのもとても大切。だけれども、それが時に圧力にもなりうると知るべきだ。

 

 とか偉そうなこと言いつつ、僕は特に全力で推している何かがあるわけではないので熱量を注げる何かを持つ人をうらやましく思います。しいて言うなら、どんな仕事でも、理解できないくらいの努力に裏付けられてそこにいるはずなのに、常に外からの脅威におびえて努力し続け、それでもその姿を外に見せることをしないタイプの表現者が好きです。余裕は欲しいけれども、そういう風にやりたいことに全力で向き合える人生が送りたいなあ。