Wochenende Café

好きなことだけして生きていたらいつか好きな人に会えるミラクルが起きてほしい。

贅沢。

 急須を買った。ザ・急須。赤茶色で、がさついているあれ。使い初めに茹でないといけないなんて知らなかったなあ。今度おいしい茶葉でも買いに行きたい。晴れた春に、ベランダで、レジャーシートを敷いてお香を焚いて、お茶飲みながら読書したい。

 

 コーヒーミルを発掘した。化石みたいに物置棚の奥に隠れていた。ちょっとお宝を発見して得意げになった。近いうちにメンテナンスして使いたいなあ。

 

 この一年、大学生という身分ではどこにだって行けなかった。それぞれの世代に苦悩があるのは分かっていて、それでも大人が、卒業式も入学式も学園祭もサークルも授業すら許されない環境に、仕方ないというその一言が許せなかった。だってあなたたちはその時間を楽しんだんだろう?その時間のありがたみを知らない人間が言う「仕方ない」なんて、信じられないじゃあないか。そもそもこんなことになったのは「大人」の皆さんの責任じゃあないのかい。それこそ、こんなこと言ったって仕方ないのなんか、わかっているのだけれど。

 

 去年の3月から、ほとんど外に出ないまま1年が経とうとしている。その人生最長の「春休み」の中で自分が非常に内向的な人間になってしまった、と思う。他人と関わることがひどく億劫で、友人どころか家族とすら会話をしたくない。非常に陰鬱な毎日を送っている。

 

 

 

 とはいえ。自分で自分のために時間を使うのってなんて贅沢なのだろうと思う。これは世界が変わって初めて得た知見です。特に、たいして高尚でもないことに時間を使えるというのは。友人と昨日のテレビの話をするのと同じくらい非生産的で、それでもその時間を自分のためだけに使える。それはひどくぬるい幸せだと思う。時間をかけて部屋を片付ける。ベランダにわざわざレジャーシートを持っていく。そして何も考えず無為に時間を過ごす。刺激はない。けれども、ぬるま湯の中を揺蕩うようなそれもまたたまにはいいものなのかもしれない。

 

まあ、ごくたまには、の話だが。